今回のBG FITを受けてくださったお客様は、ロングライドを主に楽しまれているT様でした。
目的は良いポジションを知りたい。みなさん我流の方が多いですよね。
我流と言うのは良いことだと思います。前にも書きましたが、我流は主観によって
作られていくと思います。雑誌や本を読む事で、参考にする事もあるでしょうし
人に教えてもらって取り入れる事もありますよね。こうすれば痛みが取れるかも
こうすれば早くなるかも。これらの試行錯誤は主観から始まります。
T様は左膝内側上部に痛みがある。長時間乗ると肩こりが出る。などがサイクリング中に感じる主な不安要素でした。
誰もが何かしら一つ位は不安要素があるんじゃないかと思います。
不安要素と言うと大層な悩みのようですが、実際には、長くサドルへ座れば血流が悪くて痺れが出る。
ハンドルが低くて手に体重が乗りやすいから手が痺れる。前傾がきつくて首の後ろがこる。肩がこる。
他にも色々です。はっきり言えばほとんどの方がそりゃそうだろう。その位速く走るためなら普通だよ。と言うでしょう。
当たり前の事を書きました。ですが、これらも立派な不安要素となると思います。
人間の対応力はとても素晴らしく、ある程度の痛みや痺れは「普通」と思い込んでしまいます。
ですが、BG FITではこの小さな要素も見逃さないフィッティングです。
決して全くこれらが無くなると言うわけではありませんが、フィッティングで改善できる部分を
見逃すのはとても勿体無いと思いませんか。
T様のアセスメントではハムストリングスの柔軟性、左膝の内反膝、脚長差などが気になる点でした。
インソールを決定して、これらを元にバイクを調整していきます。
まずは基本のクリート位置。ここがしっかりしないと全ての調整の意味が薄れます。
クリートは左右対称。一見正しそうですが、人間の身体はどこもほとんど左右非対称です。
左右の足の骨の位置すら違います。シューズだってアッパーとソールの接着が左右揃うように
ミリ単位でコントロールしているわけではありません。アッパーの縫い目だって微妙にずれがあります。
どこに合わせるべきか、それは骨しかありません。一番確実で合理的です。
ここで合わせたクリート位置は3Dフィットの段階でさらに煮詰めていきます。
次にサドル位置です。基本は水平(SMP等の一部のサドルは例外です)にセットされる事を前提に設計されています。
膝角度と膝とペダル軸の位置関係を確認しながら高さと前後位置を調整していきます。
そしてハンドル周り。肩甲骨位置や僧帽筋の状態、ロードであれば上ハン下ハンでの手首の角度(ハンドシェイキングポジションと言います)
幅、下ハンでの股関節屈曲角度など。MTBではさらにバイクコントロールを尊重したフィッティングを心がけます。
3Dでは膝の軌道と骨盤の向き等を中心に全体的なポジションを煮詰めていきます。
T様の場合、ウィンドスウェプト(風に吹かれると言う意味)型のペダリングでした。
片方が内反膝でもう片方が外反膝と言う膝の軌道を描くペダリングの事です。
フィッティング前にはサドルが変形していて、レールも曲がっていて交換しないと正しいアライメントが
取れないと言うことで、サドルを交換しました。
さらにクリート位置での補正も加え、脚長差に合わせてスタッカーも入れ、横風に煽られている様な
ペダリングはかなり改善しました。
関節や筋肉の動きにもそう動くための癖が付いているようなので、しばらく正しいアライメントに慣らして行かないといけませんが。
先日ご来店頂いた時には、全く違和感がないと言って下さったので良かったです。
ただ、少しサドルが痛いかもとおっしゃっていましたが^^;
結果、サドルは下がり、後退。ハンドルは上がってステムが20mm伸びました。
しっかり乗って慣らして下さいね。
そろそろ、最初に受けてくださった方の再チェックの時期が近くなってきましたので、
順にご連絡をさせて頂こうと思います。メールまたは、電話でお問い合わせいただいても大丈夫です。
日程を調整してその後問題がないか、アライメントの確認等をしていきますので
宜しくお願いいたします。
スタッフ:山本