S-WORKS Venge ViASを200km乗ったインプレ

S-WORKS Venge ViAS を200km走り、1100m登ってのインプレ。
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2016年にフルモデルチェンジをしたスペシャライズドが誇るエアロロードバイク S-WORKS Venge ViAS。
ViASはVenge Integrated Aero Systemの略です。スペシャライズドが自社に建設した自転車専用の風洞実験施設WIN TUNNELと、
マクラーレンと共同開発した自転車専用シミュレーターを駆使して1600時間もの時間を費やして開発された究極のエアロロードバイクです。
究極のエアロを実現すべく採用された一体化、内臓化、専用化の数々。
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ゼロドラッグブレーキはフロントフォークの後ろ側とシートチューブの後ろ側に配置され、
どちらもVブレーキタイプとすることでエアロ効果を最大にする形状になりました。
フロントブレーキはタイヤの曲線に沿う形で作られたダウンチューブとの形が合わせてあり、指も入る隙間がありません。
リアブレーキはトレンドのBB後部ではなくし、スプリントでもがいてもホイールやフレームのたわみに干渉の無い位置と、エアロのバランスを考慮してこの位置になりました。
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リア三角の形状も一新。シートステーを低い位置でシートチューブと接続することで前面投影面積を小さくする狙いがあります。
前から見ればこのように。
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ISPでなく、調整のしやすいシートポストタイプを採用しているのも良い点ですね。
注目のAerofly ViASコクピットはケーブルが露出しない専用設計のステムハンドルシステムです。
ステム位置を低く水平に保つことでエアロ効果を最大にし、ハンドルにライズを付けて乗車姿勢を作りやすくした形状。
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ケーブルはステムに内蔵されます。
ホイールは専用設計のROVAL CLX64が装着されます。
この完成車には間に合っていませんが、フロントにS-WORKS ターボ22cを付ける事で理想のエアロを実現することが出来、
30mmと太めのリムはタイヤの形状と一体化して、フレームに装着された時には不自然な隙間がありません。
ゼロドラッグブレーキの開き具合もリムの太さに合わせてあるようで、よりエアロな形状を留めます。
さて、お盆の休み中に4日間、述べ200km 1100mアップを走った感想として、
僕は初代のS-WORKS Vengeを3年ほど乗っていますので、それとの比較になります。
走り出しはやや軽快さに欠ける様子です。と言っても重くてとても大変なレベルではなく充分な感じ。
完成車重量が8kg有るのと、ホイールのハイトが高いせいもあると思うが、時速25kmを超えた辺りから様子が変わります。
25kmから40kmまでの速度変化は異常にスムーズ。スプリント的な事はしていないので分かりませんが、
40km~42kmを維持する事の楽さは前のVengeを遥かに上回ります。
ペダルを踏んだ時の踏みごたえはしっかりしていて、BB剛性だけでなく車体全体の剛性が上がっている感じです。
前のVengeでは、大きなトルクで踏んだ時に前後のホイール軸の間でフレームが左右にたわむ感じがありました。
小さな物ですが、エアロ形状を考えれば横方向のたわみは少なからず起こる事で仕方がないし、僕にはそのくらい
たわみがある方が楽でした。ViASでは、その左右のたわみがほぼなくなります。
イメージ的にはターマック並みの横剛性を感じました。もちろん縦方向も硬く、ゆっくりしたスピードでの乗り心地は決して良くありません。
でも、面白い事にスピード域が高くなると路面の凹凸の頂点を結ぶように走るのか硬さをあまり感じません。
だいたい40km位の速度で乗り心地が変わる印象でした。まぁ、この速度だとかなりペダリングパワーも高いのでサドルにかかる体重も少なくなっているのもあると思われます。
平地巡航では、42~44kmの集団内はほんとに踏まなくてもいい感じ。先頭に出ても余裕があるので45~46kmほどまで楽にアゲられます。
サドル位置は所有しているVengeに合わせていますが、ハンドル位置は距離だけがやや近めで乗っています。専用ステムの完成車なので、あと15mmほど伸ばしたいですがとりあえずそのまま。
ばっちりフィッティングすればさらにパフォーマンスが上がりそうです。
平地スプリントも一度試しています。脚を使い切った後でしたが、40kmから48kmまでアゲるのにかかる時間はあまり変わらず、ただ維持する時間が長い印象です。
サラ脚ではないのでトップスピードが上がるかどうかまで見れていないですが、エアロ効果を考えれば可能なようです。
金甲山と貝殻山を登った時では、速い集団を追いかけるようにほぼソロで登っていたのですが、CLX64ホイールが流石に重く感じました。
でも、どんどん遅れてしまう事はなくイーブンで登るような場合は意外に回りました。
登りでの掛け合いのような時は出足が鈍く感じると思うので、向かないかもしれませんが、64㎜もあるハイトを考えれば良く登ると思います。
車体自体も前のVengeよりも明かに登りやすいです。これは剛性の高さから感じるものと思います。ホイールをローハイトにしてしまえば充分登れます。
純粋なヒルクライムになればターマックを選択するでしょうけど、複合的なコースであればViASの優位性は大きいです。
お店にはサイズ54cmの試乗車をご用意しております。
試乗希望の方は身分証明書と自転車に乗れる服装のご準備をお願いいたします。
詳しくは、店頭にてスタッフへお尋ねください。
スタッフ山本