NEW S-WORKS TARMAC SL6 ついにモデルチェンジ!そして先行試乗!!

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既にネット上では話題の的となっている次世代S-WORKS TARMAC
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UCIにも機材登録され、プロチームでのテスト運用も始まっている2018モデル大注目のバイクだ。
先日、スペシャライズドジャパンが極秘で行った新型S-WORKS TARAMACの試乗会に参加することが出来た。
なんと、世界でも日本が最初の試乗会だという事で、最速インプレッションを書いていこうと思う。
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外観は前作のTARMAC(便宜上SL5という事になる)から大幅な変更が見える。
既に多くのリーク画像が出回っているので
大体の形状は皆さんもご存知かもしれないが、その意味や中身は想像以上の変化だった。
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まず目につくのはシートチューブステーの接合位置がかなり低くなり、後ろ三角が小さくなっている事だ。
最近のトレンドと言えるこの形状は、各メーカー共通して高剛性化とエアロ化を謳う事が多い。
TARMAC SL6は少し違うスタンスの様だ。
エアロ化については、SHIVに始まり、衝撃のデビューをしたVenge ViASやALLEZ SPRINTなどと
同じような形状を採用する事で、自社の持つWIN TUNNEL(風洞実験施設)で実証された前面投影面積の極小化を達成する。
少し違うスタンスというのは、シートステーの接合を低くする事で新型ROUBAIXの様に
シートポストの適度な撓りを得る事が出来、レーシングバイクなのに快適性を得られた事。
同時に後ろ三角のたわみを最小限に抑え、リアセンターを短くする事でクランクからリアホイールへの
駆動伝達効率を高めた。快適性と効率のバランスも最高レベルだ。
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次に、ボリュームダウンし細くなった印象のダウンチューブとBB周り。
SL5もSL4からずいぶんシェイプアップした印象だったが、SL6はさらに細い。
この全体的な線の細さもエアロに貢献する事はもちろんだが、その本質は「全体最適化」だと言う。
今までのTARMACはその年代ごとに狙った剛性や軽量性、快適性を出すためにカーボンプライ(カーボンのシート)を
部分的に重ねたりしながら強度と軽量性のバランスを作ってきた。
前作SL5では実に350枚のカーボンプライが使われていたが、SL6ではプライ同士を重ねず、
きちんと並べて配置する事で過剛性や重量の増加を完全に排除。
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FACTカーボンも11から12へ変更され、500枚ものカーボンプライを使う事でその剛性を維持し、
さらに軽く仕上げたのだ。
SL5から200gもの軽量化を達成した。
BBは今回もOSBB(BB30)を採用する。
SL5から取り入れられた設計概念、Rider-First Engineered™ はどんな体格のライダーも同じ走行感を得られる、
言わば感覚の最適化だった。
Rider-First Engineered™はもちろんSL6に引き継がれ、次に目指したのはどこかだけが秀でたバイクではなく、
全ての要素が秀でたバイク作り。
全てのシチュエーションで他のメーカーのバイクよりも優れた性能を発揮する為の「全体最適化」だ。
・低いシートステー           高い駆動効率とシートピラーの撓りによる快適性
・細身のフレームパイプ         初代Vengeと同等のエアロ、FACT12カーボンによる細くても高剛性で
                    適度な撓り。
                    56㎝フレームで733gの軽量性(ウルトラライトモデル)
・D型断面のシートポスト         斜めからの風の流れを整えるエアロシートポスト
・UCI基準の3対1翼断面フロントフォーク  エアロ化とフレームサイズによって3種類のフォーク形状。
                     素早いハンドリングと高剛性化
・前後ダイレクトマウントブレーキ     最大30C対応のフレーム形状。ダイレクトマウントブレーキ採用で
                     タイヤクリアランスが増大。
                     リアはブレーキパワーを確実に伝えるためのスタビライザー装備。
                    (外して使う事も出来る)
・10g以下の塗装            ウルトラライトモデルのみ、超軽量の塗装膜でノーマルモデルよりも
                     80~90g軽量
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ざっと上げただけでもこれだけの変更点がある。つまり、快適性も駆動効率も軽量性もエアロもライダーの感覚も、
全てのシチュエーションで
最高性能を発揮する事ができる。それが「全体最適化」を施され生まれ変わった S-WORKS TARMAC SL6だ。
前置きが長くなったが、続いて試乗インプレッション。
河川敷でひっそりと行われた試乗会当日は生憎の雨。公式発表前という事もあって存在自体が極秘のTARMACなので、
もしも一般のサイクリストが並走したり、バイクを見てくるようであれば全力で振り切ってくれと。(笑)
そういうオーダーだったので雨は好都合だったのかもしれない。
172㎝で初代S-WORKS Vengeの54㎝に乗っている僕は、SL6も54㎝を試乗した。
SL6はジオメトリーも刷新され、なんとMEN’SとWOMEN’Sが共有ジオメトリーとなる。
詳しくは割愛するが、RETULによるBODYGEOMETRY FITが世界中で行われ、その4万点ものポジションデータから
男性と女性のデータが意外に近いエリアに集まっていて
統合したジオメトリーを新たに作る事が出来たのだという。
したがって、44,49,52,54,56,58,61と言うサイズ展開となり、女性もTARMACに乗る事が出来るようになる。
同じくTARMACから乗り換えを検討される場合はジオメトリーをしっかりチェックし、サイズの見極めが重要になる。
もちろんお勧めはフィッティングS-WORKS FIT プレミアムを受ければ、
バイクの購入時にパーツ交換費用もかからず、購入した瞬間から
自分にフィットされたバイクが手に入る。
河川敷での試乗は登りが全くなく、やや残念だったが
バイクにまたがり数回ペダルを踏むと残念さはどこかへ消えてしまった。
第一印象は驚くほど普通だった。軽い、よく進む、乗り心地が良い、巡行が楽。
ただ、よく考えてみるとこれらの形容が全て最高のレベルで共存するバイクは他に覚えがなかった。
SL5も初めて乗った時に同じような感覚を覚えたが、SL6はそれをさらにブラッシュアップした感覚だった。
あまりに普通で最初はそれほど感じなかったのだが、ダンシングやスプリント、シッティングでの巡行と加速、
蛇行したりUターンと、一通り挙動を確かめていくと
何となくSL6と言うバイクの持ち味が見えてくる。
バイクはペダルを左右交互に踏んで推進力を得る時にたわんでしまうとパワーロスが起こる。
だが、硬すぎてたわまないバイクは実はそれほど進まない。適度にバイクがたわみ、
そのたわみエネルギーをタイミングよく解放してくれる時に
いわゆる「伸び」と言う加速感が生まれると思っている。
なので、プロ選手が乗るようなバイクはそれなりの脚力で踏まないとたわまないから、
一般ライダーレベルでは本来の加速感が得られない。
もちろん、たわみが多すぎたりエネルギーの解放のタイミングが遅いバイクは
「伸び」の大きさやレスポンスがゆっくりな為、
用途としてレース向きではないのかもしれない。
SL6では、そのバランスが絶妙だった。脚に力を籠めるとそれを一度受け取って、
欲しいタイミングでちゃんと返してくれる。
面白いのは、その力加減が強くなってもタイミングがずれる感じがないのだ。非常に心地よい。
フレームの弾性を相当細かく設計していると思われる。しかも同サイズに乗る体重違い(パワー違いとも言える)の
ライダーでもRider-First Engineered™であるから、同じような感覚で乗れるのだろう。
プロ仕様のS-WORKSで僕の様な非プロライダーがそう感じるのだから、
Rider-First Engineered™は感覚を最適化することは間違いがないだろう。
自分の運動の強弱や緩急に呼応するバイク。SL6はそんなバイクに感じた。
ホイールはROVAL CLX50に28C の太いターボタイヤが嵌めてあった。
これだけ太くても鋭敏な印象は薄れず、むしろ十分に瞬発力を感じる事が出来た。
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ひとつ気になったのは、フォーク素材と形状の見直しでより速く正確になったというハンドリング。
今まで、ROUBAIXVenge、Venge ViASやSL5など色々なスペシャライズドに乗ってみて、
どれを乗ってもハンドリングはスペシャライズドのそれだったのだが、
SL6は僕の知っているスペシャライズドのハンドリングではないように思った。
表現が難しいが、確かに速い。ただ個人的な感覚なのかナチュラルではなく、やや速すぎる様な雰囲気を感じた。
決してピーキーではない。が、スペシャライズド歴は長いと思っているが、慣れが必要かなと感じた。
是非下りを走ってみたい。その他はとても良好。ダンシングもスプリントもし易いし、蛇行もし難い事はない。
やはり全体的なセッティングのレベルの高さにとても魅力を感じるバイクだった。
詳しくは、是非店頭でスタッフへ。
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