この文章はHPに載せていた旅行記の再録です。
ガソリンスタンドを過ぎるとすぐに舗装が途切れ赤土の道になった。道幅は狭くなったけど相変わらずバイクや自転車は多いのでそのまま先へ走っていく。
穏やかでサイクリングには最適の道なんだけど本当にこの道でいいの?
川に突き当たり唐突に道がなくなってしまった。さてどうしよう。そんな時対岸からフェリー、いやフェリーと呼ぶにはあまりに小さい渡し舟がこっちに向かって来ているのが見えた。よかった、どうやら先には進めるようだ。
渡し賃は5000VND(約35円)だった。
やがて道は車の通れない狭いものになってしまった。でも不思議と不安はなかった。進むべき方向は合っている、それに一本道だったから引き返すことも出来る。でもそれだけじゃなかった気がする。道沿いには学校もあったし商店も床屋もあった。人々の生活がそこにはあった。だからこの道は行き止まりなんかじゃない。そう思えたのだ。
すれ違う子ども達がもう自転車で迷い込んできた外国人の僕の存在が珍しくって仕方がないといった風で「ハロー、ハロー!」と叫んでくる。うん、分かるよその気持ち。僕にしたって今、自分が何でこんなジャングルの中を走っているのかいまいち不思議だもの。
とうとう町と呼んでも良さそうな場所に出た。バラック風の家々に少々圧倒される。
狭い路地が入り組みどっちへ行ったらいいか分からない。適当に走っていると広い川べりに出た。そして対岸には見覚えのある白い塔があった。あれはガイドブックに載っていたカイベの教会だ。やっと自分が何所にいるのか地図上で確認できた。
渡し舟で対岸に渡る。お昼が近いからか客は学生が多い。人が500VND、自転車が500VNDで乗っている間に回収に来る仕組み。尾道の渡しと一緒だ。降りた所は市場のど真ん中。天幕がびっしりと屋根をつくる薄暗い路地を進むと大通りに出た。
学生の自転車の波に乗って1号線QL1へ合流。さすがに車が多い。道路の拡幅工事が進行中で路肩のない区間があり気が抜けない。遅い自転車を追い越す時や逆走して来るバイクを避ける時が特に要注意だ。
道路沿いの屋台で飯を食った。
近代的な斜張橋を渡る。有料道路だが自転車はタダ。今回の旅でこの坂道が一番長かった。
橋を渡りきるとヴィンロンVinh Longへは約8km。
今日の宿はアンビンAn Binhホテル。温水シャワー、エアコン、TV、朝食付きのツインが14$。自転車は入り口の駐輪スペースに預けるように言われる。係の男がいるので安全でしょう。夕食は屋台で飯をテイクアウトしてホテルの部屋で食べた。
しかし今日の前半のルートは良かったなあ。もし1号線を走っていたら…ベトナムの印象は全然違うものになっていただろう。1号線だけでは本当のベトナムは見えないかもしれない。
走行DATA D 80.35km T 4.40.07 A 17.2km/h Max 34.6km/h
この日走ったルートはこちら
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その9 Vinh Long ~ Can Thoへつづく