GWはどこ行こう?ネタで前回は信州の話題でしたが今回は去年の剣山スーパー林道の話を書こうと思います。
剣山スーパー林道は四国山地のど真ん中、剣山系の稜線近くを貫く全長87.7kmの林道でほとんどがダート(未舗装)です。
情報としては 超・剣山スーパー林道が詳しいですね。
自転車で全線走破するにはキャンプ装備が必要(健脚な方なら宿泊まり装備で行けるかも?)ですが、エスケープルートを利用しての周回コースも作れます。自転車はサスペンションの付いたマウンテンバイクが楽ですがツーリング車やクロスバイクでも走れます。
道中は何もないのでたくさんの食料と事前の整備点検はお忘れなく。
なおこのツーリングレポートは以前HPに載せたものです。加筆修正、写真増量しています。
2009年5月3日、今年のGWツーリングもやっぱり四国。徳島県の剣山スーパー林道をメインに未舗装林道をたっぷりと走る予定だ。
さて今回は自転車が新しい。いつものアルプスワールドローバーは再塗装のため長期療養中。そのため昨年購入した2008年モデルのGARY FISHER HiFi Deluxe 29を初めてキャンプツーリングに持ち出した。29erのでっかいホイールと前後サスは林道サイクリングにはぴったりなのだが荷物を積む様には設計されていない。さてどうしよう、キャリアは?テントはどこへ積もうか?食料は?etc…。あれこれ考えるのも旅の楽しみのひとつである。
まずはフロントバック。選んだのはORTLIEB ULTIMATE 5 CLASSICだ。完全防水で世界中のサイクリストから支持されているオルトリーブをついに手に入れた。容量は少ないがタフなつくりだ。今回の旅でも少し雨が降ったが全く気にすることなく使うことができた。蓋の開閉のスナップがやや硬いので頻繁に物を取り出すのが煩わしく感じることがある。(もう慣れました。スナップ部に注油すると軽くなります。)
カメラは取り出しやすいようにTOPEAKのトライバックレインカバー付きに収納した。これは優れ物。メイン室にコンパクトカメラを入れてサイドのポケットに五万分の一地形図を折りたたんで入れて運んだ。100㎞近くのオフロード走行でもずれることなくカメラを守ってくれた。カメラが簡単に取れるので撮影回数が増えスピードが落ちるのが難点かも?
メインの荷物はどこへ積もうか?すべてをザックで背中に背負うのはつらすぎる。しかしフルサスで29erだと選択肢は限られてくる。つまりシートポストキャリアだ。そこで用意したのはTOPEAK MTXビームラックである。これにサイドフレームを付けてサイドバックを取り付けられるようにした。バックは専用品ではなくOSTRICHの小振りなS-4サイドバックを使用。テントは上にゴムで固定した。
使用感はおおむね良好。リアキャリアは出来るだけ重心を下の方にしたいのだがリアサスペンションがある自転車ではサスが沈んだ時にタイヤに接触するのであまり下げることができない。重心が高くなってしまうのは仕方のないところだ。そのためオフロードの下りは不安定になりがちだったがそんなものだと割り切ってしまえば十分に楽しめた。シートポストをつかんでいる部分がぺダリング時に股の内側に少しだけ当たるのだがこれは乗っているうちに気にならなくなった。
TOPEAK MTXビームラックのシートポストへの固定はクイックレリーズ方式だがしっかり固定していれば緩んで下がってくるようなことは全くない。
下がることはないが長いダートを下っていると何度かキャリアが横に動いてタイヤに触れてしまうことがあった。一気に動くのではなく徐々にずれていく感じだ。その都度止まってバックを叩いてもとの位置の戻す作業が必要だった。
1番気になるのはその耐久性。舗装、未舗装に限らずサイドバックを付けた枠はブルブルと振動している。補強はされているがいつか折れるんではないかと不安になる。今回4日間走りかなりのオフロードをこなしたわけだが特に何の問題もなく走りきることができた。ヒビや亀裂等もない。思った以上に丈夫なのは間違いないだろうがこの先使い続けてどうなっていくのかは全くの未知数だ。今後も使用して検証してみたい。
なお背中にはDEUTERのCROSS BIKE 18Lを背負って行った。ツーリングではなるべく体には何もつけない方が負担が少なくてよいのだがTOPEAK MTXビームラックの耐重量が8kgのためいくらかは背中に背負わなければならない。ザックの中には軽いがかさばる着替え等を入れた。
2009年5月3日午前9時34分徳島駅着。岡山からマリンライナー、特急うずしおと乗り継いできたが意外と空いていた。ETC割引効果だろうか?タクシーの運転手と話しながら駅前で自転車を組み立てる。ツーリング車と違ってMTBは前後輪、ペダルを外しているだけなので楽である。キャリアをしっかりと固定して10時過ぎに出発。
国道438号線を西へ。徳島市内で買い出しをしそびれ佐那河内村まで来てしまった。コンビニとは名ばかりの小さな商店で買い出しをして神社脇から旧国道へ入る。新しいトンネルができたので旧道は静かな良いサイクリングルートになっていた。
東府能、西府能の棚田の中をゆっくりと上る。ちょうど田植えの時期で水を張った田が目に付く。12時40分頃、峠の府能隧道に到着。煉瓦造りの古いトンネルは狭くて怖そうだが今回はトンネル手前の林道に入り大川原高原に向かった。
大川原高原に向かう林道は一部ダートで大半はコンクリ舗装。15%~20%の勾配が延々と続くきついルートであった。時速5km/hで上りながら「何やってんだろうなあ、おれは。」とふと思う。別にこの道じゃないと大川原高原に行けない訳ではないのに何でこんな道を上っているんだろうか?答えは勿論ない。自分が選んだ道である。余計なことは考えずに前へ進むだけだ。
これまでの旅の経験で言えること。「いつかはかならず着く!」
14時30分。大川原高原の駐車場着。350円のソフトクリームを食べる。かなり霞んでいるがなんとか徳島方面の展望がある。晴れたらサイコーだろうな。
下りは旭ヶ丸林道と梅ヶ谷林道をつないで走り上勝町へ。前半は視界の開けるダイナミックな道。後半は木々の中を抜けるしっとりとした趣のある道、と変化に富んでいて楽しいルートであった。シートポストキャリアに荷物を積んでの初の下りということもあってやや緊張、しかし案外大丈夫なことがわかり徐々にスピードは上がっていった。
上勝町は9年前の2000年のGWにも訪れていてその時は診療所の屋根付き駐車場の中にテントを張らせてもらった。町の酒屋で買い出しした際そこのおばちゃんが「高いキャンプ場なんかよりその辺りどこでもテント張って泊まったららいいよ。水道はそこのを使えばいいから!」と勧めてくれたからである。
そして今年、再びその酒屋を訪れた僕は思わず笑顔がこぼれてしまった。あの時と同じ様におばちゃんは僕にすだち酒を勧めてくれた後「自転車かい?だったらその辺りでテント張ったらいいよ。ここの人は何も言わないからね。」と9年前と変わらぬ台詞を言ってくれたからだ。
旅はこれだから面白い。お言葉に甘え国道沿いの河原にテントを張った。
走行DATA
走行距離57.1km 走行時間4時間29分 平均速度13.1km/h 最高速度42.4km/h 最大上り勾配23% 最大下り勾配21% 最大標高975m 最低標高2m 累積上昇1195m 累積下降985m
DATAはPOLAR CS400による。若干の誤差あり。
走ったコースはこちら
その2へつづく