初売りセール2010無事終了いたしました。
恒例のダーツで歓喜と悲鳴が入り混じる中、
平日2日、日曜日とたくさんの方にお越しいただき誠にありがとうございました。
たくさんのお年玉になった方も少しのお年玉になってしまった方も
この一年怪我なく楽しく走りましょう!
今年も1年がんばって皆様のサイクルライフのお手伝いをしていきますので
BPSなかやまを宜しくお願いいたします。
さて、今回も金曜と土曜に2名の方よりご予約を頂き、フィッティングをさせていただきました。
まずは、今年最初のBG FITをさせていただきましたH様。
マウンテンバイクでJシリーズを転戦されている方です。
ローカルレースや色々なサイクルイベントにも参加されて楽しまれています。
レース活動をされていますから、当然良い結果を出したい、長時間パワーを持続させたい、
正確なバイクコントロールなど、競技指向な目的が見られました。
長時間のライディングで背中上部に痛みが出たり、左膝が痛む事があるそうで、
股関節の可動域に左右に違いを感じるともおっしゃっていました。
これらの不安要素を出来るだけ取り除くことで、故障の抑制と
継続的なトレーニングを可能にし、練習量の増加と効率的なペダリング、バイクコントロールの向上
を目指して3Dフィットを行いました。
アセスメントで気なったのはやはり股関節の柔軟性でした。
左右で可動域が違い、右股関節は過度に屈曲させると痛みを感じるようでした。
ハムストリングスを含む脚の裏側の筋肉は柔軟で前傾姿勢を無理なく取る事が可能なようでしたが、
右ペダルの上死点での右股関節の屈曲時に、腿と胴体の痛みが出ない角度を考慮した
前傾姿勢を取ってもらう事が重要なようでした。
サドル位置の調整後、ハンドル周りのフィッティングを進めていくと、
手首が不自然な向きでハンドルを握っていました。本人も直したい部分で、掌の外側がたまに痺れる事もあるので
ハンドルの交換をしていく事になりました。ストレートバーからライザーバーに変更する事で、
バーについているバックスウィープと言う角度によって手首の向きが正しく直され、ハンドル位置も
上がった事で上体が起きて、右股関節への制限もかなり緩和されました。
脚長差も股関節の機能的な物で左足が3mm程長いようでした。
サドルへ真っ直ぐ座れていない状態をクリート位置調整で改善し、
3Dでは左右のペダリングの感覚の違いを取るために、インソールやシムを使って調整していきました。
シムの枚数が多かったので少々シューズがきつくなったようです。
ここまでの調整で、両膝の軌道はかなり真っ直ぐに下に下りていましたが、
Qファクターの調整がさらに必要だと思いました。
ただ、使用されていたペダルでは調整幅の限界で、ペダルの交換をお勧めしました。
マウンテンバイクはもともとロードバイクよりもQファクターが広いですし、
日本人は欧米人よりも骨格的に小さいので、骨盤の幅にも違いがあります。
女性と男性でも男性のほうが骨盤は狭いです。マウンテンバイクでのQファクターのセッティングは
今のパーツやフレームの規格内では限界があるように思いますが、
それでも理想のスタンス幅に近づける事は重要です。そうすればさらに剛性感のあるペダリングが可能だと思います。
フィッティング開始時間が遅れてしまい、終わったのは午前0時前でした。H様には遅くまでお付き合い頂き
大変申し訳ありませんでした。そしてありがとうございました。
そして、今年二人目に受けていただいたのは、同じくJシリーズなどで活躍されているF様です。
姫路からお出でくださいました。遠いところからありがとうございました。
今回は練習で乗っていらっしゃるロードバイクでのフィッティングでした。
目標はMTBエリートクラスへの昇格!ペダリングに左右差を感じておられ、MTBレースでは
右膝の膝蓋骨が痛む事があるそうです。これは以前にも書いた急な登りなどでの高負荷なペダリングの
繰り返しによる膝痛だと思いました。クロスカントリー競技にはかなり確率の高い怪我ではないでしょうか。
アセスメントで気になったのは、脊柱の胸椎下部の横方向の曲がりと、骨盤の傾き、脚長差でした。
骨盤が水平でないと、サドルに座った時に真っ直ぐに座る事が難しくなります。
アセスメントで得られた情報を参考にしながら、いつものように膝角度、膝とペダル軸の位置を確認して
サドルの調整を行っていきます。
皆さんはアンクリングと言うのをご存知だと思います。聞いた事のない方のために、
アンクリングとはペダリング中にくるぶしを中心として足首をしゃくり上げる様な動きの事です。
かなり昔にはペダリング技術として推奨されていたらしいですが、
最近ではアンクリングはタブーとされる事が多いです。理由は膝関節を痛め易いとか、
足首を動かす事に筋肉を使うので推進力に使うパワー生成エネルギーの無駄になるとか。
BG FITではアンクリングはタブーではありません。ただし、自然なアンクリングはOKなのです。
人間がバイクのペダルを踏み降ろすと、0時から6時にかけて踵が落ちていきます。
ペダリングの後半は脚を引き上げようとするので、踵が上がっていきながらまた0時の位置に戻ります。
例えば、ギアを重くすれば負荷が強くなり、それだけ踵が落ち気味になりますし、
軽いギアにしてケイデンス(脚の回転数)を上げていくと、踵は上がって回転をし易く調整をしています。
これは特に足首を動かそうとしなくても起こる、自然なアンクリングです。
と言う事は、アンクリング自体は悪い事ではなくて、必要以上に足首をこねくり回したり、
アンクリングせまいとふくらはぎの筋肉をがんばって使う事は無駄にエネルギーを消耗してしまう事になると思うのです。
そのエネルギーの消耗を抑えることが出来れば、推進力になるパワーの生成がさらに効率的になるでしょう。
ペダリング下死点での膝の角度が30度を下回って膝が伸びていくと、大腿骨の一番下外側にある外側上科顆が腸脛靭帯を
弦楽器のように引っかき擦れ、炎症が起こる事もあります。
サドルを低めにし過ぎて上死点で膝角度が大きすぎれば、膝蓋骨への大腿骨の圧力が増大して怪我につながります。
さまざまな状況のペダリング中のアンクリングによって、変化する膝角度の範囲を20~40度にするために
BG FITでは30度を目指してフィッティングしていくのです。
怪我の抑止とパワー生成の効率化をバランス良く実現できる角度です。
さて、3Dフィットでは脚長差によって骨盤がサドルに真っ直ぐに座れていませんでした。
クリート位置の調整とシムの挿入で、両膝の軌道の左右差が改善されました。
ペダリングはとてもスムーズになり、力も入れやすくなったと思いますが、
この方もQファクターの更なる調整が必要に感じました。
ペダルの交換を提案するに留まりましたが、その効果は前日のH様同様かなり大きいと思います。
H様も、F様もフィッティング後は筋肉の活動割合が変わって、使われる部位が変化します。
しばらくは筋肉痛や、意外な疲れ方をするかもしれませんし、違和感も大きいはずです。
決して無理はしないようにお願いいたします。
じっくりと身体を変えていけば、きっとBG FITの効果を実感していただけると思います。
長い時間お付き合い頂き、ありがとうございました。
再チェックの時も宜しくお願いいたします。
山本でした。