第6回はれのくに岡山7時間耐久レース レポート
昨年はメンバー召集が上手くいかずチーム参戦が叶わなかったはれの国おかやま耐久。
今年は茶話会チーム6名で出場!
今回の目標ももちろん天辺を獲りに行くこと。その為にメンバーみんな冬場からしっかり準備をしてきた。
ライバルと予想されるのは連覇し続けるチームノザキ。それに、速そうなチームがちらほらと確認できるけど、知らない名前の所は未知数。
ノザキさんに対して展開していけば自ずと結果はついてくる。
さて、8時半にスタートしたレースは朝からの雨で完全にウェットな路面で進んでいた。
先発を務めてくれたJUN君は順調に集団前方をキープして1時間ほど走って帰ってきた。
続いてD241さんがスタートしていく。JUN君曰く、非常にスリッピー。
下りよりも登り返しのコーナーで滑りまくる。目の前で何人も落車があったらしい。
ノザキさんとは路面が乾くまで勝負はお預けの約束をしたみたい。
D241さんも安定して前方をキープ。7時間の集団も徐々に小さくなって20人ほどになっていた。この中にはソロの選手も含まれてる。
3番手は僕だ。まずは様子見のつもり。路面もまだ濡れてる所もあって慎重にグリップとラインを確かめて走った。
レーススタートから1時間40分ほど経っていた。ペースは1週辺り5分30~50秒ほど。
5周走ってNPは240w(IF0.87 / 4倍)
路面は5周の間にほぼ乾いたけど、代わりにものすごい強風が吹き始める。
S-WORKS Venge ViASのホイールは64㎜のハイトが有り、10mは吹いてる強風に煽られてとても走りにくかった。
次のZeidaさん、M井さんと繋がっていくタスキ。ちょっと駅伝を思い出す。
レースは開始からもうすぐ4時間が経とうとしていた。4時間の耐久レースがゴールする間はピットが封鎖され選手交代が出来なくなる。
タスキを受け取ったakaさんも流石の安定の走りでピット封鎖前に交代に帰ってこようとしていた。ピット封鎖は約25分。準備をして待つJUN君。
するとそれより少し早くライバルのチームノザキがピットインしてくる。
チームノザキは前の周回で速い選手の1周全力アタックで集団を千切って来ていたのだ。
そしてピット封鎖直前で交代するのはノザキのエースT橋さん。(実はこの時に茶話会メンバー全員状況が呑み込めていなかった。抜け出しているとは思ってもいなかった)
T橋さんがスタートして約16秒後にakaさんが返ってくるとJUN君は7時間の集団に戻るつもりでスタートをしていく。その際に僕がつぶやいた「今ノザキ逃げてる?」がちょっと聞こえたらしい。
JUN君は集団にしっかり乗って順調だったが、何かおかしい。
チームノザキがいなかった。
すぐにスマホの通過順位で確認するとピット封鎖から1周ですでに50秒の差が出来ていた。
やられた。
慌ててJUN君にペースアップを合図する。
さらにノザキさんと追走集団の間にもう1つファニーVITAと言うチームが走っている。僅か10秒ほど前だったので同じ集団内にいて計測のラグぐらいに思っていた。
封鎖から2周回るとチームノザキとチームファニーはほぼ同タイムで通過していた。協調されたらレースが決まってしまう危険があった。
追走集団はさらに遅れて1分30秒ほどの差になった。
4時間のゴールがスムーズに進行したらしく、ピット封鎖が5分ほど早く解放されると放送があった。
D241さんに準備をお願いしてJUN君の帰還を待つ。
チームファニーは強かった。なんとチームノザキを置き去りにする勢いで逃げていた。
その差は20秒。T橋さんも付けなかったと。
JUN君が帰還するとその差は1分50秒にもなっていた。メンバーに広がる僅かな気持ちの綻びを感じる。致命的と思った時点でレースは負ける。
2周MAXで交代する作戦を伝えてD241さんは飛び出して行った。11分後には僕のターンだ。
まだやれる事はある。チームノザキはチームファニーに追いつき、協調するどころかトップ2チームで1周交代のガチンコバトルが始まっていた。しかもチームファニーは2人チームだった…強すぎだ。
差を縮めてくれたD241さんが返ってくると30秒取り返すのを目標にスタートした。
ちょっと力み過ぎな感はあるが、ここで踏まんでどうするのか。
一気に乳酸パーティーを開催しつつお構いなしに追いかけた。
2周はキツイ。5分35秒と5分43秒。この強風の中ソロはタレる。
Zeidaさんがスタートすると後わずかで2時間耐久のスタート時刻が迫っていた。
Zeidaさんが帰還。トップ2チームとの差は1分前後あった。
M井さんがスタートすると幸運なことに2時間耐久の先頭集団に合流する事が出来た。
その間もトップは強調無しのソロTT合戦の真っ最中。疲弊するのは明らかで、チーム茶話会は2時間の速い集団の中で脚を使わずトップへ追いついて行けるはず。
どう考えても有利に思えた。
ところが。どうも差が縮まらない。M井さんからakaさんへ繋げ、またJUN君へ。
JUN君は追いかけましょうか?と言ってくれていたが、しばらく集団に乗って様子見で行こうと伝えた。
差が広がるなら合図を出すという事で。
で、差は開いて行った・・・まじか。
2時間の集団は遅くはないだろうが、勝負どころの後半まで活発に動くことはなさそうだった。JUN君が帰還すると残り時間は80分。差は1分30秒にまた広がっていた。
メンバー全員ここから1周MAX交代で行くことに。
D241さん、僕、Zeidaさん、M井さんと繋がり、akaさんが走っている時だった。
さっきまでスマホで確認した通過タイムは40秒差だったのに、何故か逆転していた。
Akaさん追いついたのだ。
1周MAXで帰還したakaさんはもう1回いっちゃる!と心強い覇気に溢れている。
残り45分。レースはついに振り出しに戻った。
もうどのチームがアタックしてもそうそう逃がしてはくれない。
スリップの取り合いと不意のアタックへの警戒。緊張感は凄まじかった。
どんどん残り時間が消化されていったが、M井さんやakaさんのアタックも決定的な差を付ける事は出来なかった。
順番からすると、最後ピット封鎖前に交代してスプリント勝負になるのは僕のターンだった。
スプリント力からすれば、ZeidaさんかM井さんやJUN君の方が優れていた。
だけど、akaさんをはじめメンバーは僕が行くべきだと(笑)
全く自信は無い。でも、天辺を獲ると言いだしっぺになった責任は取ってこようと思った。
Zeidaさんにスプリントはいつ駆けたらいいのか聞くと、自分の距離になったら!
それまでは脚溜める事!
肝に銘じて、D241さんが帰還するのを待った。
交代してチームファニーのスリップに入ってピットを出ると、チームノザキとバイクの姿がなかった。
またやられた。ピット交代のタイミングでアタック。T橋さんの独走力に懸けた最後の攻撃。
どの位の差なのかは見当が付かなかったが、経験上20秒くらいと予想。
そのままチームファニーのスリップの中で我慢をして着いて行く。
S字を下って登り返した後のバックストレートに出たところで100mほど前にバイクとT橋さんを見つけた。
と、「追いつけんから代わって!」とチームファニーの選手が叫ぶ。
僕は躊躇した。たぶん追いつけんって事は無いんじゃないか?T橋さんは単独走が強いと言っても7時間の後半で2ラップ目。ここまで強いチームファニーの選手が追い付けないとも思えなかった。
でも、流石に2人で7時間はきついはず。しかもこの強風の中でレースのほぼ半分は単独のTT走をガンガンやってきている。もしもこのままスリップの中で我慢して追いつけなかったら?逃げが決定的に決まるギリギリのラインがそこにある気がした。
ラップタイムと時計を見ると、レース終了時刻までの時間と残り半周のタイムがほぼ同じ感じだ。もしかするとこれが最終ラップかもしれない。
次の瞬間には踏み始めてた。じわじわ追いつくんじゃなくスパーッと追いついちゃおう。
そう決めて追い風のバックストレートだし結構踏んだ。
T橋さんが下りはじめる手前で追いついた。すかさずスリップに入る。
後ろにはやっぱりチームファニーがいる。脚がない事はなさそうかな。
やっぱり失敗か?いやいや。
スプリントに備えて3チームとも踏まなくなった。向かい風の上踏まないから速度も落ちる。
最終コーナーを回るとなんだか微妙な残り時間。
踏んで抜け出ると次の周回に入って振り出しだし、踏まないように調整してもスプリントで後れを取りそう。
3チームとも微妙な感じでそのまま最終ラップへ突入(笑)
最終ラップもT橋さんのスリップに入ったまま我慢した。後ろも僕のスリップに入ってる。
かなり気まずい状況。いらん男気やら義理やら虚栄心が顔を出してくる。
ここまで戦って自分一人の気持ちで台無しにしてなるものか。
最後取らんと全く意味がない。前を牽いて脚使ってスプリントにも絡めなかったら最悪だ。
T橋さんごめんなさい。と心で謝って交代する事を拒否しようと決めた。
駄菓子菓子、S字の手前で前に出てしまった。
大集団の中で前に出ない事のストレスはほぼ無いが、3人となるとハンパない。
とは言え、前に出てももちろん踏まない。下りも登りも。
自分比では相当ズルく出来てると思う。
業を煮やしたT橋さんがバックストレート手前の登り返しでじわじわ出てくる。
チームファニーはそんな気配さえない。徹底したズルさだ。(ロードレース的には至極正しい)
バックストレートでは追い風なのに7時間で一番遅い速度で走った。なんせ横並び。
チームファニーは僕の後ろだったが。
なーんとなくT橋さんが前に出る形になって、なーんとなく僕はそのスリップに入った。
もう前に出ないぞ!
下って登って。そして最終コーナーに向かっていく3選手。
隊列は半周全く変わってない。T橋さんが直線に入ると右に大きくラインを振った。
僕はスリップを外れないように後を追う。
スプリントの相手は後ろの選手。この状況でT橋さんが勝つ見込みはなかった。
後ろの気配に集中した。
ダンロップと書かれたゲートをくぐる辺りで後ろが動く。
右から捲ってきたチームファニーが横目で見えた瞬間に腰を上げて僕もスプリントを開始。
開始が遅れた分、半車身ほど先行されたままゴールが近づく。意外にゴールが近い。
ペダルを壊すくらいのつもりで踏みつける。が、差が縮まらない。
もうゴールまで距離がない。
とにかくペダルを踏んだ。
2位は欲しくなかったけど、また2位になってしまった。負けたと思った瞬間にハンドル叩いたけど、叩く力も脚に込めたかった。
やってしまった感が凄まじい。勝てなかったと言うより、勝たないといけない場面で決められなかったと言うガッカリ感が強かった。
結果は結果だ。
負けた。
今回ばかりは四度目の正直で勝ちたかった。このメンバーで勝てなかった事に
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
自分一人のレースよりも、ちょっと重いから。それでも勝ちたかったなぁ。
今回も残念な結果になってしまいましたが、それでも得るものが有りました。
逃げられても、差をつけられても追いつけることが分かりました。
ピット交代やピット封鎖のすきを突く作戦の発想の豊かさも勉強になりました。
スプリント前の緊張感の中では、頭で分かってる動きより染みついた動きがとっさに出てくる事も分かりました。
0.146秒という僅差でも勝者と敗者を確実に分ける大きな差だと身を持って知りました。
いつも練習させてもらっているメンバーとチームで耐久レースする事がどれほど楽しいか改めて実感できました。
銀メダルは負けてもらうメダルだから、学ぶことは大きい。なんで負けたのか、その悔しい思いが欠けている部分にあるんですね。 田村亮子
悔しいですが、悔しさはバネと思ってまた出直してみます。
参加された皆さんと大会関係者の方々、応援に来て下さった皆様と
戦ってくれたメンバーに感謝です。