何日も引っ張る内容ではないのですがもう少しお付き合いください。
周匝のローソンで休憩して県道90号線で国際サーキット方面へ向かいます。耐久レースの時はこの道を車で走るので初めは上り坂だと認識していたのですが思った以上に勾配がきつかった…。前3枚あるギアのインナーに落としゆっくりと上ります。大芦温泉雲海への分岐が峠です。
このまま国際サーキットの方へ走るのも面白くないので知らない未走の道へ入ります。写真の標識のところから横尾という集落を目指します。冬枯れの落葉樹林が青空に映えます。静かな1車線を上り詰めると峠には集落が。奥は大きな養鶏場があるようです。
下って再び広い県道に合流し今度は八塔寺川ダム方面へ。
下り基調で湖岸を走りダムの上を渡ります。ここには食事もできるレストハウスがあります。
そのまま吉永へ下るのが普通のコースなのですが事前のルート作成時に発見した兵部峠を目指しました。国土地理院の二万五千分の一地形図だと実線、昭文社のツーリングマップルだと白い地方道として描かれていたのでまあ問題なく通れるだろうと高をくくっていました。
第一関門は八塔寺川に沿う県道368からの分岐です。川の蛇行具合や角にあった写真の三石間道と描かれた古い石柱からたぶんここだろうと予想して進みました。
集落を抜けて渓流に沿う道は舗装が途切れ地道になりました。さして確信もないまま道なりに進むとやがてとんでもない急坂になってしまいました。ロードバイクならこんな道に入り込むことは決してないのですがシクロクロス車ベースのTCなら問題ありません。とはいえ乗る事は出来ないので押していきます。繰り返しになりますがこの道が正しいという確信はありません。だめなら引き返せばいいやという気楽さとこれで峠を見つけてさらに向こう側に下っていくことが出来たら心地好い達成感が得られるだろうな、という思いがありました。
そして自転車を押して進むという上り坂をペダルを踏んでいくよりもさらに純度の高い何の生産性もない、誰のためにもならない行為が人を無心にさせ奥深いところで癒されているのかもしれません。ただ黙々と自転車を押し上げていきました。
やがて視界が開けて広い空地へと誘われていきました。これまでの道にも車が通った轍がありましたが頻繁に利用されている印象ではありませんでした。産廃置き場なんかで行き止まりになるならもっと新鮮な車の轍があるだろうからこの道は普段誰も通ることのなり兵部峠への道なのではないか?などと考えていたのでこの広場は意外でした。
こうした人気の全くない広場にいるとなぜが猿の惑星のシーンを思い出してしまい身震いしてしまいます。岩陰から猿が飛び出してきそうで。。。
残念ながらこの先にはっきりここだと確信できる道が発見できず来た道を引き返しました。
後日談
帰ってからGPSのログを見るとやはり兵部峠には辿り着いていたようです。ですが衛星写真でも南側の道ははっきりしません。ヤブ漕ぎは必至だったようで無理に下らなくて正解でした。
山陽新聞社から出ている岡山県万能地図によると峠の広場はろう石鉱山と記されています。調べてみるとろう石は耐火煉瓦の原料で兵部峠に程近い備前市三石が日本有数の産地だと分かりました。峠の広場は鉱山跡だったわけです。ということは兵部峠は鉱山に至る道の名残なのでしょう。兵部という地名の由来は分かりませんが兵部鉱山というものがあったのは確かなようです。
さらに兵部峠でGoogle検索するとよく知っているサイトがヒットしました。ある空の下で「ミニベロと共に」のkeroさんが越えているではないですか!事前にいろいろ情報収集したつもりですが完全ではなかったようです。南側は荒廃が進むとあるのでやはり下らなくてよかったようです。
その3へつづく