3日目早朝、雨の音で目が覚めた。雲の中にいるようだ。5時になり外が明るくなってくる。鳥の鳴き声、キツツキの心地好いコトコト音?が森に響く。鳥が鳴いたら晴れるんだっけ?いやそんな言い伝えはないか。
朝食後、雨が止んだので濡れたままテントをたたみ午前7時22分出発。ゆるやかな上り、路面は程よく湿って走りやすい。
3Kmほどで徳島のへそというところに着く。広場になっていて晴れたら鳴門海峡の橋が見えるらしいのだが今日は全く見えない、というか走るのが危険なほどの濃い霧だ。自転車のスピードだから怖くはないが車やオートバイにとってはこの濃い霧は恐怖だろう。
いわゆる雄大な風景は望めないが古い木々の森がモノクロームの幻想的な世界を創り出していた。
やがて霧は晴れたが今度は雨が落ちてくる。ひどい降りにはならなかったが濡れるのはやっぱりつらい。しかし今まで見えていなかった周囲の山々が見渡せるようになってきた。
オルトリーブのフロントバックは完璧に雨水をはじいてくれた。
標高が上がると新緑にはまだ早く冬の名残りを感じさせる山肌が広がる。
先述の徳島のへそ辺りがこの剣山スーパー林道の最高地点で標高約1500m。そこから30kmくらいの区間は稜線に沿って標高差100~200m距離にして2~4km位のアップダウンをいくつも繰り返していく。その至る所に斜面の崩壊現場や修復箇所、曲がったままのガードレールなどがありここがいかに大変なところにつくってしまった道であるかが分かる。
カーブを曲がるたびに新たな景色が広がる。そして今来た道が背後に見える。そんなことをずっと繰り返してゆっくりと進んでいく。上っては下りまた上る。ただペダルを回していくだけの何の生産性もない行為、楽しいような苦しいような?ただ苦しいだけならこんなこと10年以上も続けないよなあ。僕にとっては楽しい?ことなんだろう。
でっかい木が路肩に落ちていた。
スタートのファガスの森から約34km、標高1260m。四季美谷温泉に通じる舗装エスケープルートとの分岐に着く。時間は12時。ルートはここから剣山山の家まで約4km、最後の上りに入る。
剣山スーパー林道という名前にも関わらず剣山山系の美しい笹原の山稜はルートからはあまり見ることができない。だがこの最後の上りでは正面にジロウギュウの山頂を仰ぐことができる。
12時57分剣山山の家着。あいにく閉まっている。林道内の上りはここで終わり。あとは下るだけだ。
山の家からトンネルを抜けると視界がドーンと開ける。道は左にカーブを描きはるか下まで続いている。距離20km、標高差1000mのロングダウンヒルの始まりだ。荷物があるし単独なのであくまで慎重に。油圧ディスクブレーキとはいえここまで長いと手も疲れてくる。休みながら行こう。
下った先は高ノ瀬峡、紅葉の名所だが新緑ももちろん美しい。
剣山スーパー林道を完走して国道に合流、しばらく上ると徳島、高知県境の四ッ足トンネルだ。長さ1857mの長ーいトンネル。幸いこっち側からは下り勾配、明かりもそれなりにあって安全に走ることができた。
当初の予定ではトンネルの少し先、別府峡温泉で泊まる予定だったが温泉ロビーの新聞を見ると明日は天気がよさそうである。ならば明日ももうひとつ林道を走ってやろうかと思い立ちもう少し走って大栃の町まで下った。この日は大栃の公園でキャンプ。
走行DATA
別府峡温泉でメーター不調。一度計測を止める。
DATA1 ファガスの森~別府峡温泉 走行距離64.6km 走行時間5時間20分 平均速度12.6km/h 最高速度44.1km/h 最大上り勾配17% 最大下り勾配14% 最大標高1591m 累積上昇1380m 累積下降2120m
DATA2 別府峡温泉~大栃(始め2km程不計測)走行距離23.0km 走行時間1時間02分 平均速度22.8km/h 最高速度44.8km/h 最大上り勾配11% 最大下り勾配10% 累積上昇85m 累積下降380m
DATAはPOLAR CS400による。若干の誤差あり。
走ったコースはこちら
その4へつづく